ほんのりビターなガトーショコラのおもいで。

ほんのりビターなガトーショコラのおもいで。

お姉ちゃんのためのガトーショコラ

私は姉と小さい頃からたくさんケンカをしてきました。スーパーで走って追いかけあったり、買ってもらったおやつを全部食べられて、食べ返したり。毎日、ケンカなのかじゃれあいなのかわからない嫌がらせを繰り広げていました。

前までは姉のことを嫌いだと思っていました。嫌がらせだって先に仕掛けてくるのはいつも姉で、口論では勝ったことがなかったから。でも、好きなアイドルも中学校の部活動も高校の進路選択も私はいつも姉の後をついて行くように同じ選択をしていました。

私が中学に上がった頃、同じタイミングで姉は高校生になりました。公立の交通費をかけずに通える高校を、だれかに勧められたわけでもなく、自分で選んだんだと思います。

そして入学と同時か、少し前に姉はアルバイトを始めました。

まわりの子がおそらくアルバイト代で新しい洋服や最新のiPhoneを買っている中、姉は私の給食費や家計のために毎日アルバイトをしてくれました。
平日は学校が終わった17時から22時まで、土日は1日10時間くらいは働いていた気がします。

姉の好きな食べ物が「チョコレート」

そんな頑張り者の姉の好きな食べ物が「チョコレート」でした。
姉はコンビニでアルバイトをしていたので、最新のチョコレートはいつも知っていました。そして、一息つくときは今でもチョコレートを食べます。

私は姉のその姿見てきていたから、毎日頑張って疲れて帰ってくる姉にチョコレートのケーキをつくってあげたいと思ったのです。

これが私の「ガトーショコラ作りのきっかけ」です。

ガトーショコラなんておしゃれな食べ物、当時の私は食べたことも知りもしませんでしたから、本屋さんでケーキ作りの本を読み漁りました。その時混ぜて焼くだけ、材料3つで出来るというガトーショコラのレシピを目にしたのです。


「ブラウニーは聞いたことがあったけどガトーショコラ??なにが違うんだろう。」たしかこう思ったのを覚えています。


私はとりあえず、ブラウニーそっくりのガトーショコラというケーキの材料を目で見て暗記して本屋さんを出ました。そして出たところで、暗記した材料を授業ノートの端に書いて、また本屋さんに入ります。次は分量を覚えて出て、また次は作り方の1,2を覚えて書いてというのを繰り返して家に帰ったことを昨日のように覚えています。

1番最初は、材料の生クリームを家にあった牛乳で代用して「板チョコ、卵、牛乳」で作りました。
休日の夕方に帰って来た姉に初めて振舞ったのは、薄っぺらいとてもガトーショコラとは言えない、黒い四角い焼き菓子。

恐る恐る食べてくれた姉の感想は、
「これなに?ぼそぼそしてる。」だったと思います。

姉はもともと厳しいことを言う性格でしたが、自分でもこの出来には本当にがっかりして悔しくて、私はこれを機に美味しいガトーショコラ作りを研究し始めました。

これがガトーショコラと私とお姉ちゃんとの思い出です。

ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。